. Communique of the 16th Session in Rio de Janeiro, Brazil in Japanese

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インターアクション・カウンシル

第16回総会最終声明


1998年5月3日ー5日


ブラジル、リオデジャネイロ

世界の現状



1. 固定為替相場制のブレトン・ウッズ体制が崩壊して以降、世界は一連の金融危機に見舞われ、最近では東アジアで発生した。インターアクション・カウンシルは、金融危機のリスク軽減のためにとるべき措置は多くあると確信しているが、世界の主要通貨間のより安定した関係なくして、これらの措置は長期的な成功を収めることはできない。通貨投機と短期金融の急速な流出入が国際的な金融システムの安定に現実的なリスクをもたらしている。



2. 東アジアの危機は、グローバル化した経済においては、経済的ファンダメンタルズのの適正化だけではもはや不十分であることを明らかにした。アジアの諸経済は、高い貯蓄率とともに良好な財政均衡、健全な通貨政策、輸出志向性を享受していた。しかしグローバル化した経済においては、透明性や優良な企業管理、そして政治・ビジネス・金融業間の適切な分離といった問題により多くの注意が払われなければならない。



3.こうした危機を受けてカウンシルは、今月バーミンガムで開催されるG7会議の加盟諸国に対し、IMFの監視および早期警告能力を強化し、特に開発途上諸国における短期的な資本の流れに伴うリスクを軽減させる措置を真剣に検討するよう勧告する。またIMFはその活動に一層の透明性を持たせるべきであり、さらにその勧告内容も、異なる国々の政治的、社会的、経済的現実に適合したものでなければならない。



4.しかし国際機関のみで監督の重荷を担うことはできない。民間金融機関の活動に対する監視や監督については、諸政府および中央銀行がより大きな役割を担うべきである。民間金融機関にはまた、健全な資産・債務管理や情報開示の責任がある。



5.また諸政府は、新興経済諸国における通貨危機を回避するために動員しうる資金の創出を検討すべきである。このような資金は、これら地域諸国が保有する外貨準備を活用して設置することができよう。諸地域間のより広範な協議と仲間同士の圧力も、将来の危機回避に役立つだろう。カウンシルは、人民元の切り下げはしないという中国の決意が危機の牽制に大きく貢献していると認識している。



6.日本はアジア発としてはこれまで経験したことのない大きな打撃を世界の経済構造に与えるリスクを冒している。日本は自国の金融システムを安定させ、有効な回復計画を実践し、需要とアジア地域からの輸入を十分に拡大させるために経済に対する規制を緩和しなければならない。



7.カウンシルは、ユーロの歴史的な導入を暖かく歓迎する。人類の歴史上、国家グループが自発的にこのような権限を超国家的機関に譲渡したことはなかった。カウンシルは、ユーロが速やかに重要な準備通貨となり、民間取引においてもますます利用され、グローバルな金融システムの安定化に貢献するようになると確信している。



8.過去50年間に目覚しい経済の成長と人的開発があったにもかかわらず、あまりにも多くの人々が経済成長の恩恵に未だに浴せずにいる。30億にものぼる人々が1日2ドル以下の生活を強いられている。13億人が浄水を入手できずにいる。世界中で軍事支出が貧困との闘いを阻害しているのである。1995年の世界の総軍事支出は、約8000億ドルに達した。カウンシルはG7諸国および他の主要武器輸出国に対し、武器の生産と販売を縮小するよう要請する。縮小が雇用に与えるマイナス影響を無為の言い訳にしてはならない。



9.またカウンシルは、a)教育と保健への支出の総額より軍事支出の多い国、b)少女や女性への教育強化ならびに家族計画サービスへのアクセスの提供に真剣に取り組まない国に対しては、政府開発援助(ODA)を提供すべきでないと確信する。



10.欧州・大西洋地域外諸国の政治的・経済的重要性に鑑み、カウンシルは、ロシアと中国を直ちにG7の正式参加国とするよう勧告する。世界貿易機関(WTO)への中国の加盟も推進されるべきである。さらに、その他の主要国についても、グローバル経済への影響力の増大にしたがって順次G7の参加国に加えられるべきである。





南米の諸問題と展望



11.カウンシルは、ミゲル・デラマドリを議長とする専門家会議の報告書、「ラテン・アメリカ:均衡と展望、進歩、困難、挑戦」を支持する。



12.1980年代以来、ラテン・アメリカは民主主義の公式なメカニズムの創設において重要な進歩を遂げている。しかしながら多くの場合、民主主義は表面的なものにすぎず、民主的諸制度も弱小で、社会的排斥が蔓延している。民主的統治を成功させるには、民主主義の役割と責任について市民社会を教育することが不可欠である。



13. ラテン・アメリカ諸国は1980年代の危機以前に享受していた成長率を回復する努力をしている。しかしこれはあまりにも頻繁に社会的不平等、生態学的資源の削剥、そして失業の増加という結果を引き起こしている。ラテン・アメリカの所得分布は地域としては世界最悪で、これは社会の安定を脅かし、南米大陸のいたるところで暴力の増加を招いている。ラテン・アメリカの挑戦は、競争力と社会的公正を均衡させることにある。



14.教育はこの地域の経済成長の鍵である。カウンシルは最近の西半球諸国サミットの声明と教育への焦点を歓迎するとともに、この地域があらゆるレベルの教育過程を強化するよう勧告する。



15.またカウンシルは、メルコスールによって立証された経済活動の継続的地域統合を奨励するとともに、加盟4カ国間の貿易の95パーセントは関税がゼロであること、貿易量全体が増加する中でメルコスール内の貿易量が4倍に達したことなど、すでに進展が見られたことに留意している。



16.しかしながら人口動態的な問題は依然として残っている。人口増加の緩和については目覚しい進展があったものの、未だに経済の雇用創出能力や政府が提供する社会サービスと人口数との間には深刻な不均衡が存在している。





人間の責任に関する世界宣言



17.グローバリゼーションによって世界が変貌する中、果てしなく狭まりゆくこの地球で共に暮らすには、その基盤となる共通の倫理基準が必要不可欠となった。インターアクション・カウンシルはこの要請に応えようと、1997年9月に人間の責任に関する世界宣言の草案を作成した。カウンシルは10年にわたって、道徳的には拘束力があっても法的には拘束しない普遍的な倫理基準を探求してきたが、これはその一環である。



18. 同宣言は多くの著名な個人、諸機関およびいくつかの政府など、幅広い層から強い支持を得た。しかし同宣言が、世界人権宣言を損ないはしないか、あるいは報道の自由に対する規制を促すのではないか、という疑念も表明されている。



19.しかしそれとは逆に、この宣言は世界人権宣言の強化を意図しているのである。権利と責任は歩調を合わせなければならないものである。さらに、メディアは自主的に管理されるべきものであり、外部の権力によって統制されてはならないとカウンシルは確信している。



20.カウンシルはすべての政府に対し、同宣言を国連で討議するという提案を支持するよう要請する。これは幅広い公衆、特に市民社会における討論と対話を必要とするテーマである。



21.朝鮮半島は未だに冷戦に囚われている。1千万にものぼる離散家族は、互いに連絡をとることさえも許されていない。カウンシルは、北朝鮮と韓国の両国首脳に対し、半島の悲劇を平和的に解決させうる第一歩として、これらの離散家族が少なくとも連絡をとり合うことを許すよう要請する。



22.カウンシルは、ブラジル会議への欠席を余儀なくされた2人のメンバー、ナイジェリアのオルセグン・オバサンジョとザンビアのケネス・カウンダ両氏の自国政府による政治的拘留に対し、強く遺憾の意を表明する。カウンシルは再度、国際社会が2人の釈放に向けて働きかけることを強く要請する。

インターアクション・カウンシル第16回総会
 

出席者 

メンバー

ヘルムート・シュミット名誉議長、西独前首相

マルコム・フレーザー議長、オーストラリア元首相

ホセ・サルネイ、Presiding Chairman、ブラジル元大統領

アンドリース・ファンアフト、オランダ元首相

オスカル・アリアス・サンチェス、コスタリカ元大統領

ミゲル・デラマドリ・ウルダト、メキシコ元大統領

ヴィグディス・フィンボガドチル、アイスランド元大統領

クルト・ファーグラー、スイス前大統領

宮沢喜一、日本元首相

ピエール・エリオット・トルドー、カナダ元首相

オラ・ウルステン、スウェーデン元首相

特別ゲスト

ペルシオ・アリダformer President of the Federal Reserve of Brazil

ジャック・オースティンカナダ上院議員

ロベルト・カンポス、Federal Deputy for the Senate of Rio de Janeiro, Brazil

エリオ・ハガリベProfessor, Institute of Political and Social Studies, Brazil

宋 健、中国人民政府―商会―全国委員会副主席

リー・セン・ユン博士、韓国元副首相

ロバート・S・マクナマラ、元世界銀行総裁

セルヒオ・モタ、メキシコ、文化経済財団

李 聖根、韓国カトリック大学国際大学院長

アントニオ・オリント、著者

ヤープ・ロスト・オネスExecutive Vice President, ABN AMRO Bank, The Netherlands

パウロ・パイヴァ、 Minister for Planning, Brazil

ルイ・ペレイラ、Representative of the Ministry for Industry, Trade & Tourism, Brazil

パウロ・ラベロ・デ・カストロ、President of the Atlantic Institute

ホアオ・パウロ・ドスレイス・ヴェロソ、 former Minister of the Treasury, Brazil

杉浦正健、衆議院議員

ヴァディム・ザグラディン、ゴルバチョフ財団

事務総長

宮崎勇、日本元経済企画庁長官

招待ジャーナリスト

フローラ・ルイス、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン

早房長治、朝日新聞

エリオ・ガスパリ、オ・グローボ

メルヴァル・ペレイラオ・グローボ

「世界情勢の展開に見られる特徴と趨勢」
ミハイル・ゴルバチェフ、リオデジャネイロ総会への提出論文

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