. Communique of the 4th Session in Tokyo and Hakone, Japan in Japanese

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インターアクション・カウンシル

第四回総会の最終声明 

1986年4月7−10日 

東京、箱根

I   人口、環境および開発
II 平和および安全保障
      東西間の軍事対立と軍備管理
      アパルトヘイト
      国際テロリズム
III 世界経済の復興

 

I 人口、環境および開発



1. 指導者の第一の義務は指導することである。指導者が我々の目前にある挑戦の現実性について議論する時代は終わった。我々は人口、環境および開発の均衡を失ってしまった。人口増加率が最も高い国々は、概して所得が最低である。環境汚染は国境を越え広がっている。空気、水および土壌の汚染は北半球を襲い、さらに南半球に広がっている。このような状況で人々は飢えている。今日すでに世界中の子供の半分以上が栄養失調の状態で、世界人口の4分の3が未開発のために苦しんでいる。我々の行く手には、資源が枯渇し人口過剰の世界が待っている。

 人口、環境および開発の問題を解決せずに21世紀を迎える事はできないだろうし、しかもこれらの問題を個別に切り離した解決はあり得ない。

2. 世界の人口は現在49億人余で、2100年には102億人に達して安定すると推計されている。しかし、各国が人口政策を含めた理性的かつ積極的な行動をとることにより、2080年に80億人で安定させることも可能となる。

 大気汚染、森林伐採等の環境破壊の進行は深刻であり、国境を越えた危機的様相を呈している。

3. 各国政府は、軍事費および非生産的支出を削減し、人類の生存に深く関わる人口、環境および開発問題を最優先課題とすべきである。我々は、とりわけ各先進国政府に対し、関連援助資金を速やかにかつ大幅に増加するよう勧告する。

4. 人口問題は複雑で微妙な問題である。世界の主だった宗教は、多くの民族、国家を超越した強力な権威の象徴となっている。地球規模の人口危機に対処するには、宗教界の指導者たちとの対話、相互理解および協力が不可欠となろう。

 我々は、宗教界の指導者たちと効果のあがる現実的な対話を重ねていくつもりで
ある。

5. 環境破壊が不気味に地球を侵食しており、積極的な対応が早急に必要とされている。我々は各国に対し、教育における国際協力、生態系保護技術の自由な移転、国際機関の強化等の特定環境保護計画を推進するよう勧告する。都市の大気汚染削減に有効な新しい技術を早急に導入し、大気中の炭化水素放出量を抑制する代替エネルギー源を開発し、危険な廃棄物や化学薬品の貿易を厳重に監視すべきである。

6. 各国政府は、生産国においては健康と環境への配慮から禁止されているものの、開発途上国には輸出されている化学薬品に関する情報を、開発途上国に提供するための国内および国際取り決めを確立すべきである。化学薬品製造者は、生産国で禁止されている化学薬品を開発途上国に販売すべきではない。

7. 各国政府は、すべての技術的な事業および計画の中に、環境保全のための条項を含めるべきであり、全人類の基本的なニーズを相応に充足する人口政策が採択されるよう、現在および将来の資源を査定すべきである。

8. 人口および環境破壊問題と取り組むために、経済および社会の遅れと戦わなければならない。経済成長の欠如が南側の貧困と人口増加の根底に潜む事実の一つである反面、北側の先進国の公害を悪化させているのが経済成長である。経済成長はもはや抽象的目標ではなく、社会的公平と生態学に密接に関連させなければならない。

 この文脈において、持続的な開発は環境保護と人口問題の適切な解決にとって基本条件である。開発途上国はそれぞれの社会・経済政策の最終目標と戦略を明確にすべきである。先進国は、直接あるいは国際開発機関を通して、環境と天然資源への影響を適切に考慮した開発計画を金融・知識両面から支援しなければならない。

9. 我々は以下を特に推奨する。

 ◇     各国政府およびその他の関連機関は、カウンシルの第3回総会(1985年、パリ)で提案されたように、最後発開発途上諸国(LDCs)および戦争、内戦、天災等の大きな被害を受けた開発途上国への援助を増大させること。

 ◇     各国政府は、世界銀行グループによる国際開発協会(IDA)の第8次増資を120億ドル以上の額で合意し、実行すること。

 ◇     サハラ以南のアフリカに対する世界銀行の特別計画に参加していない国々の政府は、同計画を支援しこれに貢献すること。

 ◇     1986年5月の国連総会で討議される予定の、アフリカ統一機構(OAU)首脳会議が採択したアフリカ経済情勢に関する計画を支持し、支援すること。



II 平和および安全保障


10. 平和および安全保障の問題は、全人類、世界各国および国際機関、とりわけ国連および平和と安全の確保と維持のために創設された諸機関に共同の責任がある。これについての超大国の責任は極めて重い。



東西間の軍事対立と軍備管理



11. カウンシルおよび執行委員会は、世界・地域問題を平和裡に解決する政治環境を創出し維持する手段として、米ソ両首脳による個人的対話の重要性を常に強調してきた。従って、我々は二超大国間の指導者間の個人的対話の再開を歓迎する。

 しかし、最近の進展に鑑みて、我々は両首脳に対し、ジュネーブで発表された共同声明にみられるコミットメントの履行を強く要請する。両首脳の対話は継続的に行われるべきであり、かつ制度化されるべきである。

12. 両超大国は、軍事力の均衡を可能な限り低い水準に抑える努力をすべきである。ジュネーブで合意したように、既存の交渉の場を活用すべきである。大陸間弾道弾の削減は、戦略兵器削減交渉(START)(第三次戦略兵器制限交渉/SALT III)において決定されるべきである。中距離核戦力(INF)問題は、両超大国が時を異にして提案した地球規模でのゼロソリューションに基づき、個別に対処、解決されるべきである。軍備力・兵器の相互および中央欧州共同手段(MBFR)に関するウィーン交渉では、全欧州内の通常戦力の均衡安定化を計り、核の先制使用の危険を縮小すべきである。欧州安全保障協力会議(CSCE)後のプロセスは、信頼を築く手段の行使によって実施されるべきであろう。これにより、具体的軍縮措置の実現の場が準備されることになろう。

13. 我々は超大国に対し、核非拡散条約(NPT)第6条で担った義務およびジュネーブ会議における共同声明、すなわち「核拡大競争を中止し、核軍縮に導くための有効手段に関する交渉」の実現化を要請する。

14. 今後の核実験停止の主たる責任は超大国にある。我々は、両国がその責任を遂行するよう要請する。ソ連が停止を提案したことに注目し、超大国に対し今後の実験で予測される環境破壊のリスクを排除し、より精度の高い核弾頭に固有の危険性を軽減するために適切な検証を行った上で、全面的核実験禁止条約(CTBT)を締結するよう要請する。その他の核保有国および非核保有国も同条約交渉の過程、調印および批准に参加すべきである。

15. 対核ミサイル防御システムに関し、我々は20年以上もの長きにわたり両超大国が対弾道弾迎撃ミサイルの研究・開発・生産をしてきた事実に注目する。また、両超大国がともにこの分野における軍備競争は戦略上の均衡を崩す危険につながることをすでに理解していたことから、1972年の時点で弾道弾ミサイル制限条約(ABM)を締結していたことにも注目したい。

16. 我々は、現在ABM条約が危機下にあることを認識している。従って我々は、ジュネーブサミット前夜に米国およびソ連政府に提出した我々の要請を繰り返し強調する。ABM条約は研究調査を妨害こそしないものの、システム配備の数を厳しく制限している。両大国は、すでに双方がともに巻き込まれている地球上および宇宙における軍拡競争を根絶するため、ABM条約に合意された解釈の適用に早急に着手すべきである。

17. 超大国間の軍事紛争は長期間発生してないものの、その間両国が直接的、間接的に関与した地域紛争は100件以上起きた。外国軍の撤退は、これら紛争を解決する上で必要不可欠である。いかなる場合にも、自決権はすべての国家に対し無条件で保証されなければならない。

 我々は、開発途上国における軍事費削減を強く要請する。これは、地域協力諸機関(例えば南アジア地域協力会議)および不可侵条約によって実現されるべきである。

18. 我々は、現在も続いているイラン・イラク戦争、中東戦争、レバノン内戦、アフガニスタン内戦、カンボジア内戦、アンゴラ内戦その他の紛争に対する深刻な懸念を表明した。

19. 特にこの時点で我々は、コンタドラ・グループによる平和的解決への仲介努力を無にした中央アメリカの状況を検討した。我々は、ニカラグアおよび米国両政府に対して以下を要請することで合意した。

 ◇     コンタドラ条約に従い、すべての外国軍は撤退すること。
 ◇     米国政府は、「コントラス」に対する経済・軍事援助計画の中止と、
        ニカラグアに対するいかなる敵意ある行為をも停止すること。

 ◇     ニカラグア政府は、コンタドラ条約に調印し国家の和睦を目的とした
        包括的な対話を持つことに同意した上で、複数政党制と非同盟国への道を
        切り開くよう、同地域における平和の再建に積極的に寄与すること。

アパルトヘイト

20. 英連邦指導者達は、ナッソー首脳会談(1985年)において、南アフリカ問題の解決を推進するグループを創設した。我々は、同グループの活動を支援する。関係者は、南アフリカの将来に対する建設的ヴィジョンに向かって努力すべきであり、それは南アフリカ国内における異なったグループ間の根強い対立を排除することにもなるだろう。

21. 交渉の条件は、南アフリカ政府が提出しなければならない。これには、アパルトヘイト破棄へのスケジュールの提示、黒人居住地区からの軍の撤退、ネルソン・マンデラ氏および監禁・拘留状態にあるその他の指導者達の釈放および移動、発言、政治結社の自由が含まれるべきである。また、これらの交渉は公開されるべきである。黒人の指導者たちも、これに対して適切に応えるべきである。

22. 次世代の黒人指導者たちは、より過激かつ革命的であろう。従って我々は、各国政府に早急かつ公的な解決策の交渉の不可欠性を南アフリカ政府に説得するために、あらゆる影響力を行使するよう勧告する。米国、英国および西ドイツは、南アフリカ政府に対し特に強い影響力を持っている。南アフリカ政府はこれら諸国が友好的であり、また同国の本質的な政治の流れを変えることには消極的であると考えている。これらの国々の政府は、第二次世界大戦後最大級の大量虐殺を回避する重大な責任を担っている。彼らの確固たる行動が南アフリカでの変化の達成に重大な役割を果たす。本当の変化が起こらなければ、南アフリカはまもなく東西紛争地帯と化すかもしれない。

国際テロリズム

23. 国際テロリズムが世界中で増えている。我々はいかなる政府であろうと、ハイジャック、人質等の脅しに屈することのないよう国際協力とコミットメントを呼びかける。すべての政府には、テロ活動の犠牲となる国家に対する支援を強める意志があるはずである。我々は各国政府に対し、テロ活動に効率的に対処するために、情報交換を含めた防衛策を整えて監視を強めるよう勧告する。

 各国政府は、外国大使館および主要外国政府機関と同格の法的保護措置を航空会社に適用すべきである。各国政府は、すべての飛行場に旅客、手荷物および貨物を最も有効に検査できる設備を配備すべきである。また、国際空港の安全性を一定の最高水準で確保するために、治安の情報と諜報を調整すべきである。



III 世界経済の復興



24. 1983年以降、インフレ率は沈着傾向にある。しかし、この間に世界経済の構造的不均衡はむしろ強まっている。すなわち、開発途上国における債務問題の深刻化、多くの国における高失業率の慢性化、保護主義の強化、日米間にとりわけ顕著である膨大な国際収支の不均衡、そして国際通貨制度の急激な変動などである

 これらの構造的不均衡は直ちに是正されなければならない。国際的な相互依存が深まる中で、各国は自国の利益追求にとらわれず、より幅広い政策調整を図るために犠牲を払わねばならない。

25. 米国の膨大な財政および経常収支の赤字は、世界経済が危機に直面していることを現わしている。世界で最も豊かな国が純債務国となった。米国は現在の消費のための資金供給源として、世界の資本のうち不当に高い利率を取り入れて赤字を補填している。米国の財政赤字は世界の金利水準に深刻な結果をもたらし、保護貿易主義に大きな影響を与えている。現状を維持することは不可能であり、我々は米国に対し、財政および経常赤字の削減を勧告する。

26. 一方、西ドイツ、日本およびその他数カ国は、経常収支に膨大な黒字を出し続けている。これらの黒字諸国は、経常収支を均衡状態に近づける一連の政策を策定すべきである。黒字削減政策は、日本政府が現在意図しているように、当該国の情勢と独自の判断に委ねられるべきだろう。

27. 最近の石油価格の暴落は、石油および石炭の主要純輸入国に莫大な利益をもたらす。アラビア軽油が、1バレル当たり18〜20ドルの場合、年間約400億ドルの利益を欧州諸国にもたらすだろう。石油価格の下落によって主要工業国は、他の国々に継続的な経済成長をもたらす政策を導入することができるであろう。

 こうした行動は、内需拡大および開発途上国が先進国市場に参入する際に保護主義を緩和する形をとるべきである。

28. しかしながら、石油価格の暴落それ自体は不安定の誘因であって、石油を輸出する開発途上国にとって問題の増大につながることは、理解されるべきである。さらに、石油価格は随時反転しうることも念頭に置く必要がある。従って我々は、各国政府に対し石油の節約と原子力その他の代替エネルギー資源の開発を継続することを勧告する。

29. 債務問題は依然として深刻である。現在多くの主要債務国は、債務危機が深刻だった時期以上に債務を抱えており、その生活水準も大幅に低下している。ラテン・アメリカの債務国がこれ以上の緊急措置を採ることは期待できない。継続している債務危機は、包括的な解決策を必要としている。従って我々は、世界銀行、国際通貨基金(IMF)、第二世銀(IDA)および商業銀行制度を通じた資金供給の増加を目的とした、ベーカー・イニシアチブを歓迎する。また、米国財務長官の路線変更も歓迎する。しかしながら、ベーカー氏の提唱する債務国と個別に対処する政策は、世界的な債務問題への対応を踏まえて初めて成功するものであり、また、このイニシアチブが直ちに効果を発揮することも成功の前提である。

30. より実質的な手段が必要とされている譲与的条件での融資の増加、対外債務構造の見直し、金利の引き下げ、融資期間の長期化と条件の改善等を各国政府と国際金融システムから獲得するために、努力すべきである。

31. 通貨価値の変動を最小限に抑えるために、主要工業国である欧州経済共同体、米国、日本は早急に対策を講じるべきである。過去18ヵ月における通貨価値の急激な変動は、貿易に打撃を与え、金融に不安定をもたらしている。米国、日本、西ドイツ、フランス、英国の大蔵大臣および中央銀行総裁が参加した1985年9月のG−5会議において、注目すべき進展が見られた。これに続く対策として、英国は欧州通貨制度(EMS)に即刻加盟すべきである。欧州通貨制度加盟国は、3大工業地域における安定した為替相場制度の確立に向けて、米国および日本と早急に討議すべきである。他の国々もその枠組みの中で、各々の通貨の安定水準を見いだすであろう。

32. 我々は、米国政府の国際金融会議に対する路線変更に賛同し、それがより安定した為替相場体制を達成するための足がかりになると確信している。しかしウィーン声明(1983年11月)で述べたように、我々はこのような会議は貿易および市場参入問題、開発途上国の債務問題、先進工業国の国内赤字および主要経済国の為替相場の安定などと関連づけて初めて成功すると、確信している。こうした会議はより慎重な準備を必要とする。

33. 他の面でも、広範囲にわたる国際的行動が早急に必要とされている。公正な国際貿易制度の設立のために、一層の努力が払われるべきである。

 ガットは、これまで農業とサービスの分野をほぼ無視してきた。新興工業国の挑戦に対処する機能も持っていない。また、日米間の貿易不均衡が国際貿易システムに与える脅威にも対応しきれていない。ガットは設立以来数十年間、開発途上国が自国の産品を世界の主な市場で販売することに適切な手助けをせず、途上国の立場を不利にしてきた。我々は、新たなガット交渉の準備が必要であることを認識し、これを歓迎する。

34. 世界貿易は、特にヨーロッパ、北米の国内政策から多大な影響を受けている。欧州共同体および米国は、各々の農産物に対し毎年約700億ドルの補助を行っている。これによって国内で膨大な余剰が生まれ、その余剰生産物は、ヨーロッパおよび米国市場への参入を相当に妨げる結果を招いており、さらに第三国における世界市場の開発を破壊している。農業補助制度は開発途上国の依存状態を築き上げてしまった。もし、公正かつ開放的な貿易がこの分野で存在すれば、数多くの開発途上国が経済的に独立することができ、最も援助を必要としている最後発開発途上国に政府開発援助を振り向けていくことも可能となる。

35. 我々は、先進工業7カ国の経済サミットに対し、世界貿易問題について新しい取り組みを行い、ガットの新ラウンドを拡大し、また世界が最も必要としている政治的手腕および国際感覚を発揮するよう呼びかける。すべての貿易に対し公正な規則が制定されるべきであり、貿易、国家予算および金融政策の相関関係が十分に認識されなければならない。

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