. Communique of the First Session in Vienna, Austria in Japanese

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インターアクション・カウンシル


第1回総会の最終声明



1983年 11月16日〜18日


ウイーン、オーストリア









1. 世界平和が軍事、政治、経済面から脅かされている事実の認識に基づき、インターアクション・カウンシルは下記の三点に優先度を置くことで合意した。
 
  (1)    平和と軍縮の促進

  (2)     金利の引き下げおよび対外債務問題への積極的な取り組みによる世界経済の
       再活性化

  (3)    開発に対する協力体制の強化



2. 大統領および首相経験者で構成されるインターアクション・カウンシルは、平和と開発に関連する多くの重要問題について徹底的に率直な意見を交わした。軍縮、高まりつつある世界の緊張および世界経済の再活性化の問題について、かなりの時間を割いて議論を重ねた。

3. 我々は、世界が今日、第二次世界大戦終結以後最大の危機に直面しているという強い確信を表明した。

4. 我々は、国家の主権と多元主義を尊重し、他国の政治に関するいかなる干渉も自粛するよう全世界に訴えた。

 





5. 我々は、世界中の平和と安全を脅かす、ヨーロッパおよびその他の地域に配備されている各種核兵器に潜む危険性に深い関心を寄せている。軍備の抑制および縮小交渉を行っている国々、とりわけ最近のジュネーブ会談参加諸国に対し、効力のある協定締結に向かってあらゆる努力を惜しまず、人類の利益のためにこれらの交渉を決裂させることのないよう要請した。



6. 我々の宣言は、現在世界中のあらゆる地域に事実上存在する通常兵器、核兵器の拡大阻止およびその膨大な貯蔵量の削減に対する有効手段の提案をも含むものである。


7. 我々は、欧州およびその他の地域の中距離ミサイルが全廃されれば平和の達成に向けて大きく前進するだろう、という結論に達した。



8. 我々は、世界の中で緊張が高まっている地域、すなわち中近東、アジア、中央アメリカ、カリブ海地域について検討した。これらの地域では、小国が遠く離れた大国の権力争いに巻き込まれた形での紛争が続いており、しかも状況は悪化している。インターアクション・カウンシルのメンバーは、これらの地域における状況の展開に対し深い懸念を表明した。



9.  上記およびその他の地域における平和は、公正、自由、人権が保障されて初めて取り戻すことができる。この意味において、我々は緊張と不公正を絶えず生み出す卑劣なアパルトヘイト制度を極めて残念に思う。

 

10. 我々は、兵器輸出に対する規制、特に開発途上国向け輸出の管理が重大だと考える。これは輸出国の経済には恩恵をもたらすものの、輸入国の安全保障を脅かし、直接的にも間接的にもこれら諸国の経済および社会の発展を妨げかねない。



11. 些細で偶発的な事件が誘発しうる地球規模の悲劇を回避するためには、リスクを軽減させる必要があり、そのためには政治の最高レベルで有効な手段を講じ、かつ密接に連絡をとらなければならないということで、我々は意見の一致を見た。


12. 我々はインターアクション・カウンシルの執行委員会に対し、委員会が緊張緩和のために必要かつ適切と考える手段を採用し、カウンシルのメンバー全員にそのような活動への参加を呼びかけるよう要請する。



II



13. 本会議の参加者は、世界平和が経済前線でも脅威にさらされているとの認識で一致した。多くの国が生産能力の低下、投資の縮小および高失業率といった景気後退に直面している。開発途上の国々は未曽有の困難な状況にある。



14. 我々は世界経済の活性化が、現行の高い実質金利水準の影響によって厳しく制約されていると考える。また、このような影響をもたらすのは、ほとんどが先進主要国の公共部門における巨額で慢性的な赤字が原因である。従って我々は、世界経済で主導的役割を果たしているこれらの先進国に対し、現行の高金利水準を引き下げかつ為替レートの安定を推進するために、経済・金融政策を調整し、赤字削減をはかるよう呼びかける。

15. 我々は、対外債務が近年大幅に増大している開発途上国に対する強い懸念を表明した。債務負担は多くの開発途上国に極めて深刻な問題を投げかけており、現状では債務不履行の危険性が差し迫ったものとなっている。もし開発途上にある主要債務国が債務履行を怠れば、国際金融および銀行システムに重大な影響を及ぼすことになろう。そのような展開は、1930年代のような深刻な事態に導くことになりかねない。このような状況に至ったのは、協定に基づく国際通貨基金(IMF)の権限、開発途上国の市場への不適当なアクセスと貿易を脅かす不隠な動き、さらには先進国の継続的赤字のすべてが原因であるといった事実に我々は注意を喚起したい。このような状況の根底にある構造的不均衡について関心が払われることが急務である。


16. 従って我々は、開発途上国の債務問題解決のために次のような短期、中期および長期的措置を提案したい。

  (1)     開発途上国の差し迫った債務問題に対して、必要に応じて短期的な債務支払
       い猶予、金利の引き下げ、債務繰り述べ、債務全体もしくは一部の取り消し
       といった緊急対策をとること。


  (2)     国際通貨基金の財源を緊急に増額し、資金の貸出条件を開発途上国の社会
       的・政治的状況および開発方針をより一層配慮したものにすること。



17. 上記の対策を実行して事態を落ち着かせ、その間に、遅くとも1984年までに主要国による国際的な金融会議を開催し、下記をめざした前向きの手段を検討し提案すべきである。

  (1)     経済危機の徴候に対処する危機管理から、長期的な国際的経済関係の再構築
       の一部となりうる、より包括的なアプローチへと意識を切り換えること。


  (2)     貿易と市場開放問題、開発途上国の債務問題、先進工業国の国内赤字および
       主要経済大国間の為替レートの安定化といった諸問題を相互に関連づけるこ
       と。


18. 我々は、自由貿易促進に関する提案が、一国ないし数カ国の反対で何度か失敗に終わっていることに留意した。我々は、現行の取り決めでは十分に包含されていない工業品、農産物およびサービスについての保護貿易主義に反対する新しい規約の設定が急務であると考える。その規約は関心を持つ国々すべてを対象とし、より自由な貿易を進める用意のある関係国の協力を促し、また過去の多国間貿易交渉にみられた大国の拒否権を撤廃することを意図したものとなろう。

 

  
III



19. カウンシルの意図は、開発途上国の開発の加速化を促進することである。我々は、使節団、協議、公報活動などの手段を通じて、官民両部門で金融およびその他の資源(特に科学および技術)の開発途上国への流れを増大させ、それを持続させることを求めていく。このために我々は、開発問題の深刻さと緊急性について、また開発途上国、先進国双方に共通した基本的利益について、主要先進国において広く認識を高める努力を続けていかなければならない。カウンシルは深刻な世界の人口問題にも特別な注意を払っていきたい。



20. 貧困、飢餓、自然災害などに苦しむ最貧困国への政府開発援助の絶対的重要性に鑑み、我々はこれらの国々の所得を引き上げ、金融財源を広げる手段を講じるとともに、これらの国々への譲与的援助の供与を早急に増加させるよう援助国政府と協議することを決議した。


21. 我々は、さらに準備を進めて、開発協力の主柱となる長期計画を徐々に明確にし、同計画に対する支援を獲得するためにも、開発途上国および先進国と幅広く一連の協議を行うことで合意した。この計画は、開発途上国と先進国双方の全員参加と最低10年の持続的かつ一貫性のある努力を必要とする。それは、開発途上国における自助努力に基づいた経済成長を促進し、各国の必要性と目的を尊重し、それにより世界経済全体の再活性化に積極的に参加することを可能とするためである。

 


IV



22. 我々は、人道主義、平和、軍縮および世界開発といった人類が直面している諸問題の検討および解決に、国連が極めて重要な役割を担っているという確信を再確認した。



  


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