. Communique of the 17th Session in Cairo, Egypt in Japanese

Go to Table of Contents
目次に戻る

英語版 (English version)
仏訳 (French) ・ 西訳 (Spanish)
アラブ語訳 (Arabic)へ行く



インターアクション・カウンシル

第17回総会最終声明


1999年5月23日-25日


エジプト、カイロ



グロ−バリゼ−ションとグロ−バル安全保障

1. 冷戦の終結は、地球社会が持続的国際平和の時代を迎え、すべての国家が東西の緊張緩和によって益しうるという希望をもたらした。地球規模の戦争の脅威は実際に緩和されたものの、冷戦後の時代は暴力的紛争の増大を経験してきている。

2. 経済、社会および文化のグロ−バリゼ−ションは、機会と同時に真の挑戦をももたらしている。現在、バルカン半島、中央・東アフリカ、中東およびアジアの諸国は、国内紛争ひいてはコソボの惨劇にみられるように、分裂の可能性にも直面している。とりわけ、経済の急成長という希望が打ち砕かれたことが、時として世界の多くの地域における国粋主義と民族間の緊張に拍車をかけている。これらの紛争は地域および地球レベルの平和に重大な脅威を与えている。

3. インタ−アクション・カウンシルは、あらゆる類の人種差別と外国人排斥に断固反対する。特に国際社会は、いかなる形の民族浄化に対しても強力な反応を示すべきと考える。民族集団から多数の人々を組織的に殺戮することは、国際社会によるとりわけ強力な対応を求めている。

4. インタ−アクション・カウンシルのメンバ−の何人かは、単一国家ないし複数国家が国際連合の承認なくして国内紛争に介入することは避けるべきと考え、他のメンバーは、たとえ国際社会全体からの完全な合意が得られないとしても、このような行動はとられるべきと考えている。

5. カウンシルのすべてのメンバーは、危機を予知し、信用しうる時宜に叶った方法で対処しうるよう国連の能力は強化されるべきであり、安全保障理事会の活動はより効果的になるべきと確信する。

6. 国際社会は外交手段を通じて国内および国際紛争の解決に焦点を置くべきである。ある対立をめぐって国際平和を脅かす危険が生じた場合、それらは国連安全保障理事会に提起されるべきである。同理事会の決定は拘束力があるものとされ、尊重され、慎重に監視され、必要とあらば実行されるべきである。

7. このような責任に照らして、安全保障理事会のメンバーは直接的国益の追及と国連の平和創出力を強化することによって得られる恩恵とを勘案して、拒否権の行使のあり方を再考すべきである。

8. 地域的危機に対応するために国際社会は、国益に関わりがあると考えているすべての国家を協調的努力に含めるべきである。インタ−アクション・カウンシルは、特にロシアと中国が安定した国際平和の構造の創出に参加し、これら両国が引き続き国際経済・政治機構に組み込まれるべきと考える。

9. インタ−アクション・カウンシルは、この10年間に世界各地で発生した国内紛争によって排除された数百万の人々を救援してきた国連難民高等弁務官およびNGOの活動を賞賛する。こうした努力は、政治的、人種的、宗教的暴力によって危機に瀕している人々を救助するために建設的な行動に出ている国家と共に称賛されるべきである。

10. インタ−アクション・カウンシルはコソボ難民の自発的帰還と彼らの経済的復興を支援するよう国際社会に要請する。

11. 国際平和を創出する持続的努力は複雑なプロセスである。インタ−アクション・カウンシルは、経済的・社会的進展への世界規模の展望があって初めてそのような試みが成功しうると確信している。これはグロ−バリゼ−ションによる利得をすべての国家と国民にゆき渡らせるための努力なのである。

国際金融の不安定

12. インタ−アクション・カウンシルはマルコム・フレ−ザ−およびヘルム−ト・シュミットが共同議長を務めた専門家会議の報告書「国際金融の不安定」を支持する。

13. グローバルな金融市場は過去30年間に未曾有の国際資本流動の増大と為替レート変動の激化を経験してきている。こうした不安定な状況が多くの開発途上諸国に危機をもたらし、そうした危機がグロ−バル経済全体のリスクとなっている。政治指導者には将来このようなリスクがより良く理解され、より効果的に対処されることを保証する責任がある。

14. 世界の主要通貨間の交換レートが不安定になると、兌換可能な通貨を持つ開発途上諸国 −とりわけ小規模、自由かつ多様な国家 − にとっては持続可能な為替レ−ト政策を採用することは、困難もしくは不可能となる。

15. このような開発途上諸国は自国の為替レート体制 − すべての国で常時適切なシステムなどひとつとしてない − を選択すべきであるが、すべてのシステムは不安定を緩和させ、投資を奨励し、変化する環境に適応するために必要な柔軟性を備えるべきである。

16. 米ドル、ユーロおよび円の為替レートの安定は、世界の安定にとって決定的意味をもっている。世界の主要通貨の代表者たちは、自国の基本的経済政策を調整すべきであり、必要とあれば、統一された積極的な市場介入の推進を考慮すべきである。

17. 協調のための国際的枠組みとその結果である慎重な監督の同一化は、堅固な国際金融システム創出の前提条件である。金融機関、国内金融監督官および国際金融組織の透明性の原則は、国際金融安定の核心である。

18. 2月にG-7が創設した金融安定フォーラムは、価値ある起点となった。しかし、このような国際的規制の枠組みに関与できるのはG-7諸国のみに限定されてはならない。

19. 金融規制における最善の慣行基準を確立し、これらの基準の遵守を監視し、強制的執行のメカニズムを調整するために、バ−ゼル委員会の業績を基盤とする国際的な監督当局が設定されるべきである。

20. 国際金融市場において秩序を維持するための重要な方策のひとつは、短期の投機的資本への依存を軽減することである。IMFは近い将来、すべての加盟国に対する完全な資本勘定の交換可能性を要請すべきでなく、開発途上諸国における資本市場自由化による適切な結果を考慮すべきである。

21. インタ−アクション・カウンシルは、IMFのコンテインジェント・クレジット・ラインの創出を歓迎すると同時に、アジア通貨基金のような金融危機に対する適切な地域的アプローチの創出を支持する。

22. モラル・ハザ−ドの現実的な問題があることから、民間の貸付は今後、IMFが調整する将来の危機管理策のなかで責任を共通に負わなければならない。そのような包括的解決策を起草するにあたって、IMFはそれらがもたらす社会的影響を十分に考慮すべきである。

中東和平プロセス

23. イスラエル人とパレスチナ人、シリア人とレバノン人との間の和平プロセスの機会が喪失していた一定期間後のイスラエル政権の交替は、進展への新たな希望をもたらした。これまでに達成された国際的合意は遵守されなければならない。

24. インタ−アクション・カウンシルは、イスラエル新政府の委任執行権は平和に対する委任執行権であると考える。1999年は中東における真の進展の年となりえ、かつなるべきであり、それは何世紀もの間3つの主要一神教のゆかりであったこの地域の人々に歴史的な和解をもたらす道程を切り開くことになるものである。

25. この和平プロセスの基盤は、マドリッドおよびオスロにおける合意を受けて、とりわけ土地を平和のために返還するという原則の下に築かれた。インタ−アクション・カウンシルは、国民の間で永続している偏見にとらわれることなく、すべての当事者がこれらの目的に準じて勇気あるリ−ダ−シップを示すことを推奨する。

26. 平和は長期的かつ持続的なコミットメントを求めている。平和には組織、正式なメカニズムおよび金融支援が必要とされる。インタ−アクション・カウンシルは、国際社会がこれらの必須要件に貢献し、交渉済み解決策に対する信用と信頼を構築するためのあらゆる努力に対して積極的かつ確固たる支援を供与するよう勧告する。

27. 安全保障問題の議論のパラダイムは変わらなければならない。紛争の各当事者は、相手側の安全保障上の懸念を理解しなければならない。効果的かつ持続可能な平和を中東にもたらすためには、同地域の軍縮のプロセスとも呼応しなければならない。このプロセスには大量殺戮兵器も含まれるべきである。

28. エルサレムは3つの宗教の信者たちにとっての聖地である。インタ−アクション・カウンシルは、イスラエル人およびパレスチナ人双方に対し、同地が双方の国家の共同首府であるという共有の概念について考慮するよう奨励する。             

29. 中東安定の必要性は、イスラエル-パレスチナ紛争の平和的解決をはるかに超越している。より包括的な平和のための地域的枠組みを推進するためには、湾岸をめぐる長期的紛争 − とりわけイラクに関する − に取り組まなければならない。交渉を通じた解決策により、リビアは国際社会に戻ることが可能になった。同様に、イラクは国連決議を遵守し、制裁も解除されうる合意に達するべきである。

30. インタ−アクション・カウンシルは、国連決議の枠組みの中で25年の年月を経たキプロス問題にも平和的解決策がもたらされるべきと確信している。

31. 多くの紛争は、宗教的次元を加えられたために悪化した。ここ十数年間、インタ−アクション・カウンシルは宗教が持つ共通の倫理的信念と道徳的伝承を検証し、推進してきた。その一環として、インタ−アクション・カウンシルはヨルゴス・ヴァシリウーを議長とする専門家会議を招請し、宗教の歴史的な役割を検証した。カウンシルは同グループの結論に合意し、それを支持する。

32. インタ−アクション・カウンシルは、多くの専門家会議および年次総会における広範な議論を通じて「人間の責任に関する世界宣言」を起草し推進してきた。こうした努力の精神に基づいて、インタ−アクション・カウンシルは、とりわけ本年次総会の主催国であるエジプトを含めた数カ国がこのような宣言の意義を深く検証するよう国連総会に決議案を提出したことを暖かく歓迎する。

cairos1a.jpg (380891 バイト)

第17回総会の参加者

メンバー

マルコム・フレーザー、オーストラリア首相、1975-1983

ミゲル・デラマドリ・ウルタード、メキシコ合衆国大統領、1982-1988

クルト・ファーグラー、スイス連邦大統領、1977年、1981年、1985

ヴァレリー・ジスカール・デスタン、フランス共和国大統領、1974-1981

ヴィグディス・フィンボガドチル、アイスランド共和国大統領、1980-1996

ケネス・カウンダ、ザンビア共和国大統領、1964-1991

モスタファ・ハリル、元エジプト・アラブ共和国首相、

アブドル・サラム・マジャリ、ヨルダン・ハシミテ王国首相、1993-95年、1997-98

マリア・デローデス・ピンタシルゴ、ポルトガル共和国首相、1979-1980

ホセ・サルネイ、ブラジル連邦共和国大統領、1985-1990

シン・ヒョン・ハック、大韓民国大統領、1979-1980

カレヴィ・ソルサ、フィンランド共和国首相、1972-75 年、1977-79年、1982-87

ハンナ・スホツカ、ポーランド共和国首相、1992-1993

ヨルゴス・ヴァシリウー、キプロス共和国大統領、1988-1993

杉浦正健(宮澤喜一元首相代理)日本国衆議院法務委員会委員長

特別ゲスト

ジアド・アブ・アムール、パレスチナ外交評議会議長

アブドラジズ・アル・クライシ、元サウジアラビア通貨庁総裁

イートウェル卿(ストラットン・セイント・マーガレット)、ケンブリッジ大学・クイーンズ校学長

ジェフリー・フランケル、ハーバード大学教授

ヨウセフ・ブトロス・ガーリ、エジプト・アラブ共和国経済大臣

モハメド・イッサ、エジプト・アラブ共和国大使

イブラヒム・カメル、エジプト・アラブ共和国実業家

セン・ユン・リー、元大韓民国副首相

小原武、日本国在エジプト・アラブ共和国駐大使 

オマール・メタワリ、エジプト・アラブ共和国大使

アーマド・ムサーリ、アメリカン大学教授(ベイルート)

ハムディ・サレー、エジプト・アラブ共和国大使

オマール・セリ、エジプト・アラブ共和国大使

マグダ・シャヒン、エジプト・アラブ共和国外務省、国際経済関係副大臣

モハメド・シェイカー、エジプト・アラブ共和国大使

ジアン・ソン、中華人民共和国全国政権委員、外事委員会副主任

アレクサンダー・ヤコブレフ、ロシア国際民主主義財団理事長

目次(Table of Contents)に戻る
一番上に戻る

Go to:
Table of Contents
Top

英語版 (English version)
仏訳 (French) ・ 西訳 (Spanish)
アラブ語訳 (Arabic)へ行く

InterAction Council
インターアクション・カウンシル
東京事務局

100−0014
東京都千代田区永田町2−10−2−1114
TEL:(03)3505-4527; FAX: (03)3589-3922
JEMAIL.jpg (1771 バイト)email3d.gif (19981 バイト)